ベルギー首相がロシアからのガスに上限価格を設けるよう呼びかけたが、9月9日のEU会議ではハンガリーの反対で見送り ディーガルの予測での人口減少はベルギーが32.7% ハンガリーが12.1%

報道記事:欧州経済はエネルギー危機で「完全に停止」するリスク、ベルギー警告

エネルギー危機への対処で欧州は直ちに行動する必要があり、そうしなければ経済活動が根本的に停止するリスクがあると、ベルギーのデクロー首相が述べた。経済活動が根本的な停止に陥れば、回復は難しいとの認識も示した。

  同首相は8日、ブルームバーグニュースとのインタビューで、「このような状態が数週間続けば、欧州経済は完全な停止に陥る。そこからの回復は、ガス市場にきょう介入するよりもはるかに複雑になる」と発言。「産業の空洞化や、根本的な社会不安が起きる深刻なリスクがある」と指摘した。

  経済停止から鉱工業を救いたいと欧州連合(EU)が考えるのであれば、域内のガス取引全般に上限価格を遅滞なく導入するべきだと主張した。

  「率直に言って、ガス市場への介入以外に選択肢はないと思う。4億5000万人の欧州市民に対し責任を持って対処すると証明する機会は二度はない。いま目にしているのは、EUの繁栄が大規模に奪われつつある事態だ」とデクロー氏は語った。

  ベルギー政府はロシアから輸入するガスだけでなく、ガス市場に幅広く上限価格を導入することを呼び掛けている。「ロシアのプーチン大統領がガスの販売を停止すると既に言っているからだ」と説明した。

  EUは9日、域内のエネルギー市場に抜本的な介入を行う計画を話し合うエネルギー担当相会合を開催する。

Bloomberg

【コメント】
ベルギーの首相ほかEUの主要国はロシアからのガスに上限価格を設けようとしていた。ベルギーの首相が言うように「産業の空洞化や、根本的な社会不安が起きる深刻なリスクがある」そしてそれはもう始まっている。

ところがこの記事にある9月9日のEUの会議では上限設定は否決された。
  参考:中日新聞 9月11日 ロシア産ガスの価格上限、設定見送り EUエネルギー相会合で

反対したのはハンガリーである。ハンガリーはロシアに対してエネルギー価格をルーブルで支払うことで購入契約を継続している。ディーガルの予測では2025年時点での人口減少がベルギーが32.7% ハンガリーが12.1%である。現在の両国の政策とこの人口減少率をみると、ディーガルの予測にはEU各国のエネルギー政策、ロシアとの親密度が影響しているように思える。そして、ディーガルはそれを2014年には分析していることになる。ハンガリーの12.1%の人口減少率も半端ではない。

ついでに。2回以上の新型コロナワクチン接種率はベルギー79.2%、ハンガリーは63.6%。ハンガリーはヨーロッパの中でもワクチン接種率は低い方である。

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