イギリスでは思いがけないことが起こっている CO2不足で食品が減る どうなっているのか?

報道記事:英国でCO2不足、食料品がスーパーから消える? 業界団体が警告

 二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の原因の一つとされ削減が求められているが、実は食品業界やそのサプライチェーンには欠かせない物質でもある。そのCO2がイギリスで不足し、食料品の製造や供給への影響が危惧されている。コロナのロックダウンを終えてようやく経済を再開したのに、年末のクリスマス商戦まで影響が続くと大変なことになると業界関係者は危機感をあらわにしている。

◆食品用は副産物 供給元工場が突然停止
 食品用CO2は、たくさんの製品に利用されている。炭酸飲料はもちろん、飲食店のビールサーバー、食品の包装(細菌を防ぎ賞味期限を延ばすため)、食品の輸送中の鮮度保持(ドライアイスとして)などに使用される。農業では、温室野菜の成長促進や家畜の屠殺にも用いられている。(BBC)

 イギリスでは化学工場、とくに肥料工場の副産物として出るCO2を抽出・浄化してガスや液体の形で生産してきた。ところが、二つの主要な肥料工場が操業を停止したため、食品用CO2が60%の減産となってしまった。CO2は医療用にも利用されるため、現在はそちらに優先供給されているという。(同)

◆発端は燃料価格高騰、動物愛護の問題も
 肥料工場の操業停止理由は、欧州のガス価格の高騰だ。ロシア産天然ガスの供給不足や、北海の風不足などいくつかの要因があるとエコノミスト誌は説明し、天然ガスと風力への依存度が高い国が大きな影響を受けているとしている。イギリスはエネルギーの約40%を天然ガス、20%を風力で賄っており、もっとも大きな打撃を受けている。先日の天然ガス卸売価格は、8月初めと比較して7割も値上がりした。

 CO2不足でとりわけ困っているのが食肉業界だ。イギリスでは人道的な観点から、家畜を苦しまずに死なせるため、二酸化炭素ガスを用いて意識を失わせてから屠殺している。英食肉加工者協会のニック・アレン氏によると、豚や家禽の80%がこの方法で処理されており、このままでは出荷せず農場に留め置くしかないという(英ヤフーニュース)。

 屠殺場を運営する2社は、貯蔵しているCO2の量は残りわずかだとガーディアン紙に話している。電気で家畜を気絶させることも可能だが、動物に苦痛を与える方法であり、ほとんどの経営者は使用できないと考えているという。アレン氏によれば、現在豚肉、鶏肉の在庫は5~15日分しかなく、このまま肥料工場の操業再開がなければ、2週間後には消費者への影響は避けられないということだ。(ヤフーニュース)

◆全国規模の品不足も 業界団体が政府に警告
 食品製造から小売業まで、CO2不足は食品サプライチェーンに深刻な混乱をもたらすと業界団体は警告し、肥料工場への補助を政府に要請した。状況は悪化しており、政府の介入なしではCO2の追加供給の見通しは立たないとしている。労働力不足も問題化するなか、CO2不足で生産が止まるようなことがあれば、需要の増えるクリスマスシーズンを前に業界は重大な転換点に立たされ、国中で品不足が起こる危険性があると関係者は話している。(ガーディアン紙)

 BBCによれば、政府は停止中の2つの肥料工場を再開するための取引を行ったと発表した。工場を所有する企業に政府がどのような後押しを約束したのかは、まだ明らかにされていない。工場の生産再開までに3日はかかるとされており、依然として食品や飲料の供給にさらなる混乱が生じる可能性があるという。

NewSphere

【コメント】
イギリスは日本では想像できないようなことが起こっている。今、ヨーロッパの各国は確実に崩壊に向かっている。その中でもイギリスとドイツが顕著な問題を起こしている。記事にあるようにイギリスではCO2不足が起こっているそうだ。

日本のテレビでもCO2不足で炭酸飲料が作れるか危ういと言っていた。CO2はドライアイスとしての利用はわかるが、野菜の成長促進や家畜の屠殺用に使用されているらしい。そのCO2が天然ガス高騰の影響を受け、生産量が減っているとのことだ。こんなことも食糧危機に結び付いている。

現在の社会は非常に複雑である。一つの大きな問題が思いがけないところに結び付く。場合によっては他の問題に連鎖する。

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