
報道記事:台湾軍、中国のドローンに初の実弾警告射撃
【台北=矢板明夫】中国に近い金門島に駐留している台湾軍は30日夕、同島付近の上空を旋回していた中国のドローンに初めて実弾警告射撃をした。金門防衛司令部の報道官が明らかにした。米国のペロシ下院議長が8月初めに訪台したことを受け、中国軍は台湾海峡付近で大規模な軍事演習を強行し、その後も金門などの上空にドローンを繰り返し飛行させている。台湾軍による実弾射撃が同海峡の緊張関係をさらに高める可能性がある。
産経新聞
金門防衛司令部によると、同日午後6時(日本時間午後7時)ごろ、金門付近の二胆島に、中国から飛来したドローン1機が接近した。台湾軍兵士が実弾警告射撃をし、ドローンは中国の福建省アモイ方向に戻ったという。これに先立ち、蔡英文総統は澎湖県にある空軍部隊を視察した際に「挑発行為に対し、われわれは冷静に対抗するが、何もしないわけではない。必要があれば強力な対抗措置を取る」と語っていた。
中国軍が軍事演習をした8月上旬から、金門付近では中国からのドローンが頻繁に確認されるようになった。武器などを搭載しておらず、民生用ドローンとみられる。台湾の領空に進入したため、台湾軍は照明弾を発射するなど警告したが、さほど効果はなかった。
中国国内のインターネットには、ドローンから撮影されたとみられる台湾側の映像などが公開されている。警備する台湾側の兵士がドローンにめがけて石を投げつける瞬間の映像を撮られたものもあった。中国のインターネットには「これが台湾の最新の地対空兵器なのか」「台湾軍は原始人の武器を使っている」といった台湾軍の対応を揶揄(やゆ)する書き込みが殺到した。中国外務省の趙立堅報道官は、中国側のドローンが頻繁に台湾の領空に進入したことについて「中国のドローンが中国の領土を飛んだ。大げさに騒ぐものではない」とコメントした。
台湾側は中国による新たな嫌がらせとみて警戒を強めていた。30日までに、金門などの兵士に警告射撃を許可する指示を出したとみられる。
【コメント】
8月のアメリカのペロシ議長訪台以降、中国の軍事的挑発が続いている。中国としては自分の領土にドローンを飛ばして何が悪いという主張を続けるであろう。世界各国も台湾を国として承認しておらず、建前上は台湾を中国の一部としているだけに介入も難しい。
今起こっていることは、いわゆるサラミスライス戦法だ。サラミを薄く切るように、少しずつ進めることで、相手側との対立を最低限に抑えているのだ。ただ、スライスの厚みが増してきている。
今回問題なのは台湾が実弾を発射する事態になっていることだ。ドローンに当てるようなことはしないと思うが、中国は次の段階に進めていくであろう。たとえば、ドローンを10機、20機と増やしていった場合はどうであろうか?中国にとっては自国内で何機飛ばそうが関係ない。1機がよいなら100機も同じである。たいわんにとっては100機も来た場合に何もしないわけにはいかない。次は100機に戦闘機が付いてくるかもしれないのだ。台湾がドローンを打ち落とす可能性が出てくる。
簡単に戦争になるとは思わないが、この事態は悪化するばかりである。