まさかのEU原発危機 ニジェールのクーデターでウランが手に入らなくなる可能性 EUのウラン輸入はニジェール、カザフスタン、ロシアで70%越え

報道記事:ニジェール EU最大の原発ウラン供給元 フランス採掘にクーデターが暗雲

【パリ=三井美奈】西アフリカ・ニジェールの軍事クーデターで反仏感情が広がったのは、旧宗主国フランスが原発燃料ウランの鉱山開発を通じ、ニジェール経済に権益を維持してきたためだ。欧州連合(EU)にとってニジェールは最大のウラン供給元で、クーデターはエネルギー計画を大きく揺さぶった。

フランスの原子力企業「オラノ」(旧アレバ)は7月28日、ニジェール情勢を受け、「首都ニアメーにある本部、アーリット鉱山での事業は続いている」とする声明を発表した。ニジェールには600人近いフランス人が在住するが、コロナ仏外相は30日、仏ラジオで「現時点で、退去の決定はない」と述べた。

フランスは電力供給の70%を原子力に依存。それを支えたのが旧植民地ニジェールのウランだった。仏紙ルモンドによると、2005~20年、フランスのウラン輸入量の18%をニジェールが占めた。オラノは今年5月、40年までの採掘権延長をめぐって、ニジェール側と合意したばかりだ。

フランスにとって、ニジェールは、西アフリカにおける駐留仏軍の重要拠点でもある。マリやブルキナファソでの軍事クーデター発生により、相次いで駐留部隊の撤収を迫られたためだ。仏国営放送によると、ニジェールには現在、仏軍1500~2000人が駐留する。

西アフリカではロシアの民間軍事会社「ワグネル」が影響力を広げ、反仏感情を煽(あお)ってきた。昨年、ブルキナファソで軍事クーデターが起きた際にも、ロシアの旗を振るデモ隊がフランス大使館を包囲、襲撃する騒ぎが起きた。ニジェールでの事件と重なる。

経済開発協力機構(OECD)原子力機関によると、ニジェールはウラン産出で世界5位。EUでは21年、ウラン供給の24%をニジェールが占めた。2位はカザフスタン(23%)で、3位はロシア(20%)だった。EUはロシアのウクライナ侵略を受け、露産エネルギー依存からの脱却を進めているさなか。ニジェールの軍事クーデターは、新たな打撃となった。

産経新聞

【コメント】
ニジェールのクーデターは世界の争いが関係していた。ニジェールは元フランスの植民地でいまもフランスの軍事、経済の影響が強い。

フランス軍が2000人も駐留しているというのは日本ではほとんど知られていないことだろう。さらに経済的な利権を持っており、ニジェールの経済の一部はフランスに握られている。要は植民地がつづいているのだ。

記事によるとニジェールのクーデターにより、フランスのウラン輸入が揺さぶられているという。フランスと言えば原子力発電の国である。そこに燃料調達の懸念が出てきたのだ。フランスどころか、EU自体が、ニジェール、カザフスタン、ロシアの3カ国にウランの70%以上を依存している。この3カ国はレッドチーム側であり、いつウランの供給を打ち切られるかわからない。

ひそかに、大きな問題が起こっている。EUは大混乱の一歩手前にいる。

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