ウクライナのダム決壊 犯人はウクライナかロシアかは不明 だがロシアのせいにしたくなる風潮

報道記事:ウクライナのダム決壊、4.2万人に洪水被害リスク 国連「生計失う」

[ヘルソン(ウクライナ) 7日 ロイター] – ウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所に設置された巨大ダムの決壊について、同国の当局者らはドニエプル川沿いのロシアとウクライナの支配地域でおよそ4万2000人が洪水被害に遭う危険性があると予想した。国連の支援責任者は重大な影響が広範囲に及ぶと警告した。

ウクライナとロシアは互いにダム決壊の責任が相手側にあると非難。ウクライナはロシアが意図的に旧ソ連時代のダムを爆破するという戦争犯罪を犯したと批判し、ロシア側はウクライナがこのほど開始した反転攻勢のつまづきから注意をそらす狙いがあると主張した。

国連の人道支援責任者であるマーティン・グリフィス事務次長は安全保障理事会で、ウクライナ南部の何千人もの人々が住宅や食料、安全な水を失い、生計を立てられなくなるなどの重大な影響を受けると警告。「数日中にこの大惨事の重大さについて全容を知ることになるだろう」と述べた。

死者は報告されていないが、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は多くの死者が出た公算が大きいと指摘した。

ダムから60キロメートル下流のヘルソン市では6日に水位が3.5メートル上昇し、住民は膝まで水につかりながら避難を余儀なくされた。

冠水する危険性がある約80の集落には住民を避難させるためにバスや列車、民間車両が動員された。ロイターの記者は6日夜に市内の住宅地域の近くで、住民が避難しようとする中で砲撃の音が4回鳴り響くのを聞いた。

ドニエプル川沿いのロシア占領地域にある動物園は水没し、300匹の動物が全て死んだという。関係者がフェイスブックの公式アカウントに投稿した。

米国はダム決壊の責任の所在は明らかではないとしているが、ロバート・ウッド国連代理大使は、ウクライナが自国の領土と国民に対してこのようなことをするのは理にかなわないと指摘した。

ジュネーブ条約では、民間人に危険が及ぶためダムは紛争時の標的にしてはならないと定められている。 ウクライナのゼレンスキー大統領は定例のビデオ演説で、同国の検察当局が既にダム破壊の捜査に国際司法を関与させるよう国際刑事裁判所(ICC)の検察官に打診していると明らかにした。

一方、国際原子力機関(IAEA)はダムの貯水池から原子炉の冷却水を取水していたザポロジエ原子力発電所について、貯水池の上にある池から「数カ月」は冷却水を取水できるとの見通しを示した。

Yahooニュース

【コメント】
ウクライナのダムが決壊し大ニュースになっている。ウクライナとロシア占領地の境が洪水になっている。被災者は4万人を超えるという。ロシア占領地は昨年、このようなことに備えて住民を他の地域へ移住させており、幾分被害は緩和されているかと思われる。

問題はウクライナとロシアのどちらが犯人なのかということになるだろう。記事ではどちらとも書いていない。だが、このYahooニュースのコメント欄を見ていただきたい。多くの人がロシアを犯人としている。ウクライナが犯人とするコメントもちらほらあるが、いずれもBAD評価が多い。これは多くの人がロシアを犯人にしたいと思っているということを表すだけで、どちらが犯人かを考察する材料にはならない。

筆者はどちらが犯人かわからない。あえて言えばどちらもやりかねないということか。

ここで筆者が嫌な気持ちになるのは世間がロシア憎しに傾いていることだ。そして、そう仕向けられているのではないと感じるからである。もし、今回の犯人がウクライナだとしたら、マスコミはこれまでロシアを非難してきたのと同じくらいウクライナを非難するであろうか?

多分そうではないだろう。すでにYahooのコメントにも見られるが、たとえウクライナが犯人だとしても、ロシアの侵攻がなければこのことは起こらなかったという主張が出てくる。それは、かつてアメリカが原爆を落としたのは日本が戦争をはじめたからだと言っていたことと同じだ。

ロシアのウクライナへの侵攻は決して正義とは言えない。かといって今のロシアが悪いというだけの偏った報道は良くないと思っている。ロシアで反政府デモが起こっているというニュースがあれば、ウクライナはそんなことはないのかとウクライナを取材してほしい。ウクライナが情報統制をしてなければ分かるはずだ。

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