OPECプラスが石油減産を決定 あの時限爆弾が動く そしてサウジのレッドチーム入りが明確に

報道記事:OPECプラス、予想外の追加減産表明 米「得策でない」

[ドバイ 2日 ロイター] – 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は2日、日量約116万バレルの追加減産を行うと発表した。5月から開始し、今年末まで継続する。予想外の動きで、アナリストは原油価格が押し上げられるとみている。

ロイターの算出に基づくと、これによりOPECプラスの減産量は日量366万バレルとなり、世界需要の3.7%相当する。

OPECプラスは3日に開くオンライン閣僚会合で、2023年末まで日量200万バレルを減産するという現行の方針を据え置くと予想されていた。

原油価格は先月、世界的な銀行危機が需要に打撃を与えるとの懸念から、1バレル=70ドルに向かって下落し、15カ月ぶりの安値を付けたが、現在は80ドルに向けて持ち直している。

投資会社ピッカリング・エナジー・パートナーズの代表は2日、今回の減産により原油価格が1バレル当たり10ドル上昇する可能性があると予想した。

米国は、経済成長を支え、ロシアによるウクライナ戦争の資金源を抑制するため、原油価格の押し下げが必要だとしている。

米国家安全保障会議の報道官は「市場の不透明感を踏まえると、現時点で減産は望ましくないと考えており、われわれはそのことを明確にしている」と述べた。

サウジアラビアは日量50万バレル減産する。サウジのエネルギー省は、自主的な減産は市場の安定性を支えるための予防的措置だと説明した。

ロイター

【コメント】
 OPECプラスが減産を決め、原油価格が上昇している。記事にあるようにこれはアメリカにとって良くないことだ。産油国であるロシアの財政が好転するからだ。

 ここ2-3か月、テレビの報道でもロシアの財政赤字のニュースがあった。原油価格下落によりロシアの財政が悪化したのだ。解説者はこれでロシアは苦しくなり、ロシア経済も悪くなるだろうと解説していた。

 ロイター 3月6日 ロシア1─2月の財政赤字拡大、エネルギー収入46%減

 もちろんロシアにとってはいいことではない。だが、ロシアがどのような対抗策をとるかは報道では予想されていなかった。簡単だ。原油価格を上げてくるに決まっている。その一つがロシアの減産と今日の報道のOPECプラスの減産だ。OPECプラスが減産したのはサウジが減産に賛成したからだろう。サウジはすでに昨年の原油高でかなりの利益を得ている。減産して価格を維持したうえで、石油を温存するのがサウジの戦略だろう。

 しかしこれは、サウジの同盟国のアメリカの利益に反する。ロシア封じ込めができなくなるのだ。サウジはもうレッドチームだ。ロシアと強調して今回の減産を決めたと思われる。

 そしてもう一つ重要なことがある。忘れられているのかもれないが、G7はロシアに対して原油価格の上限を設定した。その価格は60ドル。ロシア産なので、中東やアメリカの原油より安く売られる。現在は60ドル以下で取引できるようだが、この価格も上昇する。12月に開始されたこの約束は時限爆弾だった。

 ロシアの原油価格が70ドルになったらどうなるだろうか?G7は60ドルまでしか払わないというだろう。そうなると、ロシアは原油を販売しないかもしれない。それはさらなる原油価格の上昇を招く。G7各国はエネルギー不足と価格高騰によりさらにインフレになるのだ。
 

 次は日本にも影響する。なぜなら、日本も今週からロシアへの禁輸を始めるからだ。ロシアの敵に日本も加わる。日本のインフレは比較的穏やかだったが、そうもいかなくなりそうだ。

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