
報道記事:ドイツ銀株が急落、ショルツ首相「懸念する理由ない」
[24日 ロイター] – 24日の欧州市場でドイツ銀行の株価が8.5%急落した。規制当局や中央銀行がまだ金融システム不安を抑え込むことができていないとの懸念が背景にある。ただ、ショルツ独首相は、ドイツ銀が「非常に収益性の高い銀行で懸念する理由はない」と強調した。
株価は月初から20%下落。S&Pマーケット・インテリジェンスのデータによると、同行の債務不履行(デフォルト)リスクに備えて取引されるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も急上昇し、5年物が4年ぶりの高水準を付けた。
FXストリートのシニアアナリスト、ジョセフ・トレビサニ氏は「市場はまだ表面化していない問題があるのではないかと懐疑的で、嫌気がさしている」と指摘。
ただ、銀行担当のアナリストらはスイス金融大手UBSによる救済買収が決まったクレディ・スイスとドイツ銀では収益性やファンダメンタルズ(基礎的条件)が異なると指摘。
調査会社オートノマスは、ドイツ銀が次のクレディ・スイスではないことは「明白」とし、JPモルガンのアナリスト陣はドイツ銀のファンダメンタルズは「強固」で「懸念していない」と説明した。
ラボバンク(オランダ)のシニアストラテジストのポール・ファン・デル・ウェストハイゼン氏はドイツ銀の収益性について、2023年の黒字を見込んでいなかったクレディ・スイスと「根本的に違う」と述べた。
ロイター
【コメント】
クレディ・スイスはUBSによる救済により数年もの破綻懸念は収束となった。次はドイツ銀行の番である。ドイツ銀行も数年間、破綻するかもしれないと言われ続けていた。今すぐに問題になるわけではないと思うが、疑心暗鬼となっている金融市場は次の問題銀行としてドイツ銀行に注目しているのだ。
記事にあるように3月24日にはドイツ銀行の株価が急落した。ドイツ銀行だけでなく、ドイツのコメルツ銀行の株価も落ちている。これはEU全体が金融危機にあることを示すこととなった。EUはアメリカよりもインフレがひどく、先日はECBは0.5%もの利上げを実施した。アメリカが利上げ幅を縮小する中、EUはまだインフレがひどい状態のままである。
予想をする。この金融危機はいったん収まる。次に再発するのは6月以降、アメリカの債務上限問題が発生してからである。アメリカ議会は民主党と共和党のねじれ状態となっている。債務上限については共和党がすんなり上限アップをよしとしないであろう。その議論が続く中で、この金融問題が再度問題視されると思っている。次は金利ではなく、政策の金が滞ることが問題となる。
行き詰った金融機関を救うにも、破綻懸念のある企業を救うにもアメリカという国家が国債を発行できなくなればそれは実現できない。つまり、見殺しにするしかないかもしれないという状態になるのだ。6月から9月の間は要注意である。今回、被害が少なくて済んだ日本も次は巻き込まれるかもしれない。