オランダで農民と市民の党が大躍進 オランダの農業破壊政策は終わるのか オランダは世界第2位の食糧輸出国

報道記事:オランダ選挙、現政権にノー。農民市民党の驚異の飛躍

CDA)とルッテ首相の率いる自由民主党(VVD)が敗北。さらに極右のFVD党はほぼ全議席を失うという結果が出た。そして今回の選挙が大きな地殻変動を起こすと言われる要因となった新党「農民・市民・ムーブメント党」(The BoerBurgerBeweging (Farmer-Citizen Movement、BBB)は上院で75議席中15議席を占める第一党になった。

下院議員がひとりしかいなかったこの新党BBB党とはいったいどんな党なのか。政府の窒素排出削減政策に反対する農家が昨年からデモを続けているが、この農家の声を反映する人とこれを支持する一般市民からなるのがこのBBB党である。BBB党は2019年に発足、「エリート議員」たちが決める政策に反対する人たちが右派・左派にかかわらず支持している。
政府は2030年までに環境破壊をする窒素排出量を半分にするために、窒素排出を続ける農家を買収し廃業に追いやる政策を強行する計画だが、世界第2位の農業製品輸出国であるオランダの地位を揺るがす政策でもある。BBB党はこの過激な政策に反対、窒素削減到達までの猶予期間を伸ばすよう訴えている。

驚くべきことにBBB党は世界の右派やポピュリストからも支持を受けている。オランダ国内では反イスラム主義を唱えるオランダのウィルダース氏のPVV党や、フランスのル・ペン氏、そしてドナルド・トランプ氏までもこの党を支持。そして気候変動政策が一部のエリート議員たちによって押し付けられることを嫌う市井の庶民や労働者からも大きな支持を得ている。党首は元ジャーナリストの女性、キャロライン・ファン・デル・プラス氏である。(写真)

今回の選挙では、緑の党と労働党がタッグを組み、合計15議席を獲得し、右と左の勢力が力をつけ、中道右派である現政権の政策に「ノー」を突きつける結果となった。今回の選挙は投票率62%と36年ぶりの高さであ

ポートフォリオ・オランダニュース

【コメント】
オランダで進んでいた農業破壊は終わりになるかもしれない。世界的な食糧危機が進む中では、朗報である。日本ではほとんど報道がなかったので何のことかわからないかもしれない。2019年に窒素は鳥類に悪影響を与えるとして、窒素を活動をしないよう裁判所の判決が出た。それが始まりだった。

その後2021年には窒素によるの自然への負荷を下げるよう数値目標をさだめた「窒素法」ができた。目標達成のため、糞尿で窒素を排出している家畜を減らす、窒素肥料を減らすということが国策として始まった。簡単に言うと、畜産業と農業を大幅縮小することになる。食糧輸出をしている国とは思えない。環境を守るという旗印の下では、経済や農民のことなんかは関係なかった。そして、農民はオランダの国中でトラクターデモを繰り広げることとなった。

農民によるデモは選挙へと戦いの場を変えた。今週の3月15日のオランダ下院選挙に出た「農民・市民・ムーブメント党」がいきなり第一党となった。これにより窒素法を元にした農業破壊は見直しされる可能性が高くなる。

窒素法はどう見ても悪法にしか見えないのだが、世界では環境保護やSDGSといった考えをもとに社会や環境を破壊する(矛盾しているが)政策がどんどん進んでいる。オランダで人々が立ち上がったことで、それが緩和される可能性が出てきた。

それにしても、このことはほとんど報道されない。「オランダ 選挙」で検索していただくとわかる。

ヨーロッパでは様々なデモが大規模で展開されている。その中の一つ、オランダの農民のデモは選挙という制度を通じ、国政へ反映することになろうとしている。これこそ民主主義というよい事例だ。世界が暗くなっていく中、たまには良いこともある。

  

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