
報道記事:トルコ大統領、スウェーデンは「NATO加盟支持期待するな」 デモでコーラン燃やされ
トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は23日、スウェーデンは北大西洋条約機構(NATO)への加盟をめぐり、トルコの支持は期待しないようにと述べた。スウェーデンの首都ストックホルムでの抗議デモで、イスラム教の聖典コーランが燃やされたことを受けてのもの。
スウェーデンとフィンランドはロシアによるウクライナ侵攻を受け、昨年5月にNATOへの加盟を申請した。両国がNATOに加盟するには、トルコを含む全加盟国の承認が必要。
スウェーデンの首都ストックホルムでは今月中旬、エルドアン大統領の人形を逆さづりにする抗議行動が起きた。21日にもトルコ大使館近くで抗議デモがあり、コーランが燃やされた。
エルドアン氏は、「スウェーデンはNATO加盟をめぐり、我々からの支持を期待すべきではない」と述べた。
「我が国の大使館前でこのような不名誉な行為をした者たちは、自分たちの(NATO加盟)申請について、トルコの善意はもはや一切期待できない。それは明らかだ」
スウェーデン当局は21日の抗議デモを、事前に承認していた。コーランの焼却そのものは、認めていなかった。
エルドアン氏はデンマークの極右政治家による今回の抗議デモについて、言論の自由によって擁護されるべきではない冒涜(ぼうとく)行為だと非難した。
スウェーデン政府もこのデモを批判。同国のトビアス・ビルストロム外相は21日、「スウェーデンでは、幅広い表現の自由が保障されているが、だからといってスウェーデン政府や私自身が、表明された意見を必ずしも支持しているというわけではない」と述べた。
スウェーデンとNATOの反応
トルコのエルドアン大統領の23日の発言について、スウェーデンのビルストロム外相は自分がコメントする前に、まずエルドアン氏の発言を正確に理解したいと述べた。
また、トルコが昨年6月にスウェーデンとフィンランドのNATO加盟を支持することで合意したことに言及し、「スウェーデンは、スウェーデン、フィンランド、トルコの間で結ばれたNATO加盟に関する合意を尊重する」とした。
直近の抗議行動により、NATO加入申請をめぐる緊張が高まっている。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長は、表現の自由はNATO諸国において「かけがえのないもの」であり、これらの(デモ)行為は不適切ではあるものの「自動的に違法」になるわけではないと述べた。
トルコ、抗議デモの事前承認「受け入れられない」
イスラム教徒が大多数を占めるトルコは、21日の抗議デモを事前に承認したスウェーデン政府の決定を「全く受け入れられない」と非難。「聖人を辱める権利は誰にもない」と、エルドアン氏は23日のテレビ演説で述べた。
「我々が何かを言う時は、正直に言う。誰かが我々の名誉を傷つける場合、我々はその者に身の程を思い知らせる」
トルコのフルシ・アカル国防相は、スウェーデンでの「非常に不快な抗議行動に対して何の措置も取られなかったことを目撃し」、トルコはスウェーデンのパル・ジョンソン国防相の訪問をキャンセルしたと説明した。
スウェーデンのトップ閣僚がトルコの首都アンカラを相次いで訪問していたことで、スウェーデンのNATO加盟に対する反対意見がやわらぐのではないかとの期待が高まっていた。
すでにNATOに加盟しているトルコは、ほかの国の加盟を阻止することができる。同国はスウェーデンに対し、トルコがテロリストと見なすクルド人武装勢力の身柄引き渡しなどを求めている。
BBC
【コメント】
ちょっと忘れ去りそうになっていたスウェーデンのNATO加盟。コーランを燃やすデモが発生し、トルコはそれに反発している。表現の自由を取るのか、国家間の信頼を取るのかは論争の余地があるのかもしれないが、現実的にトルコによるスウェーデンのNATO加盟承認の可能性が低くなってしまった。
タイミングも悪い。スウェーデンの国防省がトルコをしようとしていたタイミングである。訪問はキャンセルとなった。
デンマークの右翼政治家がデモを起こしたということだが、不信感は否めない。なぜ、わざわざスウェーデンに行ってまでデモを起こしたのだろうか?エルドアン大統領を非難するのはあってもよいとしてコーランを燃やす理由はないのではないか?
すぐに陰謀を感じてしまう。ロシアの工作かもしれないし、アメリカの工作かもしれない。少なくとも今回の事件で世界はさらに不安定になった。ロシアの隣国フィンランドもこのあおりを受けてNATO入りできないかもしれない。先週のニュースではフィンランドもトルコの承認待ちとなっている。
日テレNews 1月18日 駐日フィンランド大使 「NATO早期加盟」の必要性を強調