米中戦争前夜 戦略国際問題研究所のシミュレーションと中国、アメリカの選択肢② 中国は2024年に決断する

今後起こりうる可能性の高い出来事

将来を予測するには前提が必要である。すべてを妄想で書くわけにもいかないので、可能性が高そうな条件を設定してみる。
 2023年
   ・ロシアによるウクライナ以外の国と交戦とアメリカの介入
   ・世界景気後退
   ・景気後退、パンデミック再来による西側国家の混乱

 2024年
   ・1月に台湾で国民党の蔣万安が総統になる(中国寄り)
   ・11月の大統領選挙でバイデン敗退 共和党候補者当選
   ・日本の軍事力増強本格化

中国が早期に台湾侵略を想定する状況

前回記載したように、時間は中国に有利である。中国の巨大な武器生産能力により、艦船をはじめとするストックは時間により蓄積される。空母もを毎年1隻作れる生産体制ができるかもしれない。

だが、中国が早期に台湾進攻を検討するなら、世界情勢の進展によるものだろう。

✓ロシアによるウクライナ以外の国と交戦とアメリカとの戦い
  ・ウクライナには西側諸国からの武器が援助されている、それだけではなく、軍人も派遣されているという
  ・これは、ロシアにとっては西側諸国(NATO)が敵になったことと同じである
  ・あるタイミングで、ロシアがNATOに戦いを仕掛ける可能性がある
  ・ロシアは国家動員法により、兵士を増やし訓練している
  ロシアにとっては、NATOが本格的に兵力を増大する前に戦いを挑んだ方が有利である 
それはロシアがアメリカと戦うことを意味する
  アメリカと戦くことを決断するためには中国との共闘が必要

✓世界経済の後退と世界の混乱
  ・2022年の金利上昇により2023年は世界経済の後退が確実視されている
  ・そこに、世界の工場である中国がサプライチェーンの断絶を行うと世界は恐慌へと向かう
  ・国によっては国内デモや騒乱が起こる
  中国は経済がどうなろうが、力で秩序を維持することができる

✓韓国の衰退と北朝鮮のチャンス
  ・世界経済の後退がすでに韓国経済に影響しており、金融危機の懸念がある
  ・韓国経済は中国に依存しており、中国の政策如何では韓国は簡単にダメージを受ける
  ・北朝鮮は国内が安定していないが一定の軍事力は維持している
  中国の意思次第で、韓国に混乱を与え、北朝鮮に南進を促すことができる

ロシアがウクライナと戦っているうちが中国のチャンスか

アメリカは2正面作戦が困難だと言われている。ロシアと中国と同時に戦えるかわからないのだ。ロシアはウクライナとの戦いで余力を残しているとはいえ、時間が経てば戦力を削がれていく。中国としてはロシアが負けてしまう前にアメリカとの戦いの決断が必要だ。

中国にはともに戦える同盟国がない。あえて言えば北朝鮮をけしかけることだろうが、北朝鮮も有利な条件でなければ動かないだろう。その条件があるのは、ロシアがまだ戦っている状態だ。ロシアが負ける、もしくはウクライナとの講和が成立してしまえば中国に有利な状況は生まれない。

中国にとってはロシアが西側諸国との消耗戦を続け、アメリカとも戦うのが一番良い状態なのだ。その状態であれば、北朝鮮を引っ張り出すこともできる。勝てると思わなければ誰も動かないのだ。

中国の戦略

ロシアがこの先いつまで持つかはわからない。
ロシアも2024年3月に大統領選挙を控えている。2023年の戦況次第ではプーチンが大統領に残れるとは限らない。


中国に有利なシナリオ
 ・2024年の台湾選挙で国民党が勝利するよう2023年の敵対行動は抑える
 ・2023年はロシアにがんばってもらう
 中国の選択肢
  ①2024年にロシア、北朝鮮とともにアメリカに戦いを挑む(2024年 台湾侵攻)
  ②ロシアは当てにせず、長期的に台湾奪取に向かう(2026年以降 台湾侵攻


ロシアの状況次第だが、中国としては2023年の終わりから2024年前半でロシアとともにアメリカに敵対するかどうかの決断が必要だろう。

これは中国の思惑を妄想したものだ。アメリカにとってはそうではない。それは次回に。

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