米中戦争前夜 戦略国際問題研究所のシミュレーションと中国、アメリカの選択肢① 時間は中国に有利

戦略国政問題研究所(CSIS)による中国の台湾進攻の成否のシミュレーション

アメリカのワシントンにあるシンクタンクである戦略国際問題研究所が2026年に中国が台湾に侵攻するシミュレーションを行った。24のシナリオがあり、そのほとんどで中国は台湾の侵略ができないらしい。

中国からの侵攻が前提で、中国が先制攻撃を行う。いずれのシナリオでも台湾の軍事施設は壊滅的な被害を受ける。中国は台湾を占領できないが、中国だけでなく、日米も甚大な被害を受ける。日米で数十隻の艦船と数百機を失う。

24のシナリオのうち2つは中国が勝利する。中国勝利のシナリオとは何か?日米はそのシナリオを選択できないようにしなければならない。

台湾防衛の必須条件はアメリカと日本の参戦

フジテレビの日曜報道がわかりやすく解説してくれている。テレビでいうと8時の部分。中国勝利の条件は、アメリカが参戦しないこと、そして、アメリカが参戦しても日本が米軍基地を使わせなければ負けるというのだ。簡単に言えば、日米が参戦すればよい。逆に言えば日米の参戦が必須となる。

動画は以下

時間は中国に有利

このシミュレーションは2026年の各国の戦力を想定して行っていると思われる。では、2026年からさらに数年後であればどうなるのだろうか?中国は軍事力を増大している。その拡大規模は世界でもっとも大きいだろう。一方、遅ればせながら日本も軍拡を始めた。アメリカも戦力を増やすかもしれない。必ずしも時間稼ぎが中国の戦力差を広げるというわけではない。

だが、政治的にはどうだろうか?

中国は習近平が3選され、2027年までの任期を得ることができた。台湾、アメリカの状況は良くない。

【台湾】
  現在、台湾を率いている蔡総統の任期はあと1年。2024年1月には次の選挙がある。
  蔡は出馬せず、総統が変わることが確定している。
  次の選挙では中国寄りの国民党が勝利し、蒋介石のひ孫になるのではないかと言われている。
  
  日経新聞 2022年11月26日 台湾・蔡英文総統、党トップを辞任 地方選で与党大敗
「台北市長選は元総統・蔣介石のひ孫にあたる国民党の蔣万安氏(43)が勝利した」

【アメリカ】
  バイデンの任期は2024年まで。2024年には選挙がある。
  バイデンの支持率は低く、次は共和党が勝利すると言われている。
  共和党はトランプ大統領がそうだったように自国優先の可能性がある。
  自国優先するために台湾を守るともいえるし、自国を優先するために中国に配慮するともいえる

時間が中国を有利にすると言える理由
 ・中国の生産能力で台湾進攻のための艦船を増やし、大量の武器備蓄ができる
 ・人口優位を生かし、大量の兵士を訓練できる
 ・台湾は2024年には中国寄りの国民党が政権を握ると予測され、中国敵対政策が緩和される
 ・台湾は少子化であり、戦える若者不足が深刻化する
 ・台湾は中国経済に依存しており、2023年から予測される世界的な景気後退による国力が落ちる
 ・アメリカでも政権交代が行われ、国内の混乱と自国優先になる可能性がある

時間が中国に有利なら、アメリカは待ってられない

現在の状況のまま時間が経てば、中国の台湾侵略成功の可能性は高まる。だが、それをアメリカは許すはずがない。そのため、中国向けの半導体関連で制裁行ったり、日本に軍備力増強の圧力をかけたりしている。

今回のCSISのシミュレーションで重要なことは、米中が戦えばアメリカが勝つとう結果ではない。2026年に米中が戦えば、アメリカが甚大な損害を受けるということだ。アメリカの目標が台湾の確保だったとしても、損害を許容できるかどうかは別だ。アメリカ国民からすれば、それほど重要でない他国なのだ。台湾の半導体生産設備は重要だが、アメリカや日本にも工場ができる予定だ。熊本の工場の完成は2023年秋である。

CSISのシミュレーションは中国が2026年に台湾を侵略した場合を想定している。では、アメリカはどうするのか?では中国はどうするのか?この視点が必要である。

さらに言えば、今回のシミュレーションにはロシアや北朝鮮の介入はなさそうだ。(詳細は見てないので予想ですが)2026年より前に、北朝鮮が韓国のアメリカ軍基地を攻撃したらどうなるの?ロシアがポーランドを攻めたらどうなるの?中国の選択は大きく変わる。

想定しだすときりがないかもしれないけど、次回は独自の妄想。

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