
報道記事:食費も暖房代も払えない!イギリスの看護師が初のスト実施へ
記録的な物価の上昇が続くイギリスで、看護専門職の労働組合「王立看護協会(RCN)」が、史上初となるストライキの実施を決定した。“生活費の危機”によって状況がさらに悪化するなか、インフレ率を約5%上回る17.6%の賃上げを政府に求めている。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生して以来、目を見張るような貢献をしてきた医療従事者には、適切な待遇の改善がなされていたと思っていた人たちも多いかもしれない。だが、実際には、賃金は一貫してインフレ率を下回っている。複数の国民保健サービス(NHS)の病院を運営する国内各地のNHSトラストは現在、その4分の1以上が、職員たちのためにフードバンクを運営しているという。
英医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』は11月15日(現地時間)、ウェブサイトにRCNのツイートを掲載。ストは年末に開始され、来年5月まで続く予定だと明らかにしている。
また、同誌によると、政府はRCNの要求に応じるためには、医師・歯科医や一部の幹部を除き、NHSの関連機関で働くすべての人の賃上げを行うことになるため、およそ90億ポンド(約1500億円)が必要になると明らかにしている。
RCNはストを計画したことについて、看護師や職員が「燃え尽きて」しまえば、患者の看護と安全に対する懸念生じるためだと説明している。一方、看護師たちがなぜストを行う必要があるのかについては、疑問視する声もあがっているが、野党・労働党のザラ・スルタナ議員は、理由を次のように説明している。
「ほかのすべての労働者たちと同様に、看護師たちは、簡単にスト実施を決断したわけではありません。これはとても難しい決断でした。それでもストを実施するのは、2010年以降、実質的には賃金が伸びていないためなのです」
スルタナ議員はまた、看護師たちを取り巻く状況がどれほどひどいものになっているかを示す、衝撃的なデータを紹介している。
「看護師たちの給料は、(昨年と比べて)実質およそ5000ポンド(約83万円)減少しています。ストをするのは、職員の3人に1人が自宅の暖房代や家族の食費を賄えないからです。(称賛の証として人々からもらう)拍手では、請求書の支払いもできないからです!」
スルタナ議員はさらに、NHSの病院その他の関連機関で働くすべての人たちはあまりにも長い間、過重労働と低賃金に耐えてきたと訴えている。RCNによると、NHSが運営する病院の大半に勤務する看護師たち、その他の大規模病院の看護師たちが、ストに参加することになる見通しだという。
COSMOPOLITAN
【コメント】
イギリスでは看護師のストが続いている。インフレで生活が困難になり、賃上げを求めている。看護師は使命感が強く、簡単に患者を見捨てることはできないと思う。それでもストを決行しているのは、それだけインフレがひどいのだと思う。
一方、医療を利用しなければならない人は増えている。新型コロナとその後遺症、さらには新型コロナワクチンの副作用による病気も増えている。これではイギリスの医療は崩壊してしまう。ストが続くと止めてしまう看護師も出てくるだろう。看護師に見切りをつけるのだ。それは更なる医療ひっ迫をもたらす。逆にストを止めるため、賃上げ要求を認めてしまうと、病院がつぶれてしまう。病院がつぶれないようにするには、医療費を上げるしかない。それは更なるインフレにつながる。
今の世界は、機械化による生産性向上、大量生産による単価ダウン、社会システムの効率化によりうまく回っており、人々の生活の質を上げてきた。今はそれが逆回転を始めてしまったのだ。ストは生産性を下げてしまう。看護師のストで治る病気が治らなければ、その人の職場も生産性を下げる。賃金の低下は、購入量を減らすため、生産設備の稼働率低下により物価高を招く。
イギリスでの看護師のストはその一端である。インフレが原因でストを起こしているが、このストがインフレの原因となる。寒くなり病気が増える冬には、一層ひどい状態となるであろう。日本が比較的マシなところは、みんなが少しずつ我慢することで、インフレを抑えている。生産者、卸、スーパーなどの小売り、それぞれが値上げしないよう努力をしている。限界が来る前にインフレが終わってほしいものだ。