
報道記事:ロシア産油価上限設定、洋上タンカー立ち往生も 保険会社が警告
[ロンドン/ブリュッセル 10日 ロイター] – 保険業界は主要7カ国(G7)が導入を予定しているロシア産石油の価格に上限を設定する計画について、詳細が早急にはっきりしなければ、石油を積んだタンカーが洋上で行き場を失う恐れがあると懸念している。保険業界の幹部2人がロイターの取材で問題点を指摘した。
ロイター
G7は9月に価格上限設定で合意し、12月5日から開始される予定。既に導入まで3週間しかなく、海運業界に周知徹底する時間はなくなりつつある。
懸念されるのは、上限価格以下で販売されたと思われていた海上輸送中の石油が、実際には上限を超える価格で販売されていた事実が保険会社に発覚する事態だ。
その場合は保険が適用されなくなり、買い手が商品の受け取りを拒否して資金面や物流面で問題が生じ、環境面でも危険な状況が起こり得る。
【コメント】
思ってもみなかったが、確かにそうだ。12月5日からロシア産石油の上限設定を行う。G7主導なので日本も含まれている。石油の売買契約を行い、タンカーに積み込み買い手に届けるには時間がかかる。12月到着予定であればもう契約しないといけないだろ。だが、上限価格は決まっていない。
上限より契約価格が高ければ、目の前までタンカーが来ていても買えなくなってしまう。これにより、売買を渋ることがあれば、事実上、原油の輸入規制がはじまったのと同じだ。12月5日の上限設定とともにロシアは輸出を停止すると宣言している。12月5日を待たずして、来週にでも輸出停止になってしまいそうだ。
記事にある保険業界の幹部が言うのが事実なら、上限価格を決めなければ混乱が起こる。上限価格が低ければ、ロシアはより高値をだす他の取引先を優先するであろう。どうせ12月5日からは販売できなくなる可能性が高いのだ。
今回のロシア産原油の上限設定は意味があったのだろうか?結果を見ないとわからないが、単に取引を止めただけになりそうだ。困るのはEUと日本である。