
報道記事:ブラジル大統領選、僅差で左派ルラ氏返り咲き ボルソナロ氏は沈黙
[サンパウロ/ブラジリア 30日 ロイター] – 30日に行われたブラジル大統領選の決選投票で、左派のルラ元大統領(77)が右派の現職ボルソナロ大統領(67)に勝利し、12年ぶりの返り咲きを果たした。
ロイター
選挙管理を統括する高等選挙裁判所は、得票率はルラ氏が50.9%、ボルソナロ氏が49.1%だったとして、ルラ氏が次期大統領に決まったと表明した。来年1月1日に就任する。
ルラ氏は選挙戦で、03─10年の前回在任期に多数の国民の貧困解消につながった国家主導の経済・社会保障政策を復活させると公約。アマゾン森林破壊などの環境問題にも力を入れる考えを示している。
ルラ氏は勝利演説で、分裂した国をまとめるなどと訴えたほか、アマゾンの熱帯雨林を保護し、世界貿易をより公正にするための国際協力を呼びかけた。
「私は2億1500万人のブラジル人のために政治を行う。私に投票した人のためだけではない」と表明。「2つのブラジルがあるのではない。われわれは1つの国、1つの国民、1つの偉大な国家なのだ」。
中南米ではコロンビアやチリなどで左派政権が相次ぎ誕生し、「ピンクの潮流」と呼ばれた20年前の左傾化の動きが再び起きている。
一方、ボルソナロ氏は選挙に不正があったと繰り返し主張しており、関係筋によると、選挙当局は同氏が選挙結果の受け入れを拒否し、支持者がデモを実施する場合などに備えている。
30日夜の時点でも同氏は沈黙を保っている。陣営アドバイザーによると、ルラ氏に電話をかけなかった。
陣営幹部によると、同日中の演説はない見込み。陣営からは公式のコメントを得られていない。
【コメント】
今週、ブラジルの大統領選挙があり、現職のボルソナロ大統領を破って元大統領のルラ氏が当選した。得票率は50.9%と49.1%と僅差だった。ボルソナロ氏の支持者たちはルラ氏がかつて大統領だった頃に戻りたくなく、反対デモを起こしている。日本では報道がないのでユーチューブを見ていただきたい。
ボルソナロ氏はブラジルのトランプと呼ばれ、ナショナリストであり、ルラ氏はグローバリストだ。ヨーロッパでは、右派が台頭する中、ブラジルでは左派のルラ氏が選ばれた。世界では左派、グローバリストの限界を感じる人が増えてきている。
ヨーロッパでも左派政府に対するデモが広がっている。反EU、反NATO、反ウクライナ支援。イタリアではそれにより政権が変わった。インフレや食糧不足が続くと、人々の不満と合わさって過激さを増すと思う。ブラジルは比較的独自路線と思っていたが、グローバリストの大統領が選ばれてしまった。ヨーロッパ同様に混乱が始まろうとしている。ブラジルはディーガルの予測では人口減少がない国である。2025年のGDPは日本に次ぐ5位に浮上すると予測されている。BRICSのうちの一国であり、てっきりレッドチーム入りかと思っていたのだが、今回の大統領選で思わぬ展開となった。